「やっぱり無理だよ」
そう言って先程までキスをしていたユキは俺の胸に手を押しやって離れようとする。
もちろんそんなことを俺が許すはずがない。
意外と力が強いのだが、気にせず俺はそれに対抗して抱きしめる力を強くする。
「逃げるな」
ちょっとした好奇心だろ、ともう一度説得をしようとする。
だが、当のユキは顔を真っ赤にして首をブンブンと振る。
駄目だ話にならない。
「何も本当のセックスをしようとしているわけじゃないだろ」
何を恥ずかしがるんだ、と言うと今度はさらに顔を真っ赤にさせる。
単語だけで恥ずかしがっているのかもしれない。
「だからそれは……」
「大体蓬生と試してみたけれど、ただの自慰行為の延長だろ」
さっきから揉めているのはいわゆる触り合いについてだ。
先日蓬生に誘われてやってみたのだが、意外と興味深いものだった。
だからユキ相手でも試してみようと思っていたのだが、この調子だ。
「その……千秋は土岐君とそのようなことをしたの?」
「ああ」
蓬生の名前を出したとたん、ユキは抵抗を弱めた。
それにつられ、つい俺も抱きしめる力を弱めてしまった。
しばらくの沈黙が流れ、ユキは意を決したように頷いた。
「わかった、やってみようか」
- 作品名
- きみに触れて1
- 登録日時
- 2010/03/29(月) 22:06
- 分類
- 未分類