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感情の行き先

二位、東金千秋。
彼の高校最後の夏のソロコンクールは準優勝で幕を閉じた。
悔しがる部員に対し、千秋は逆に誇らしげな表情だった。
本人より部員の方が悔しがるなんてさすがだと思う。
「俺は出来る限りの演奏をした。冥加の演奏はそれ以上のものだったことは他でもない俺がよく分かっている。」
去年と同じで、潔く負けを認める。
「悔しくないといったら嘘になるが、悔いはないな」
部長の言葉に涙をする部員。
そんな彼らを少し離れた廊下から見ていた。
――僕の中でドロリとした醜い感情が生まれるのを感じる。
「そんなとこおらんと千秋と話したらどう?」
男子校よりも男子校らしい光景を眺めていたら、てっきりその中にいると思っていた人物が横に立っていた。
「いや、遠慮しておくよ。他校の人間が混ざるのは無粋だろうから」
ふぅんとつまらなそうな声で返される。
彼には気付かれたのだろうか。
「ま、ええけど」
千秋に感じた違和感を彼も汲み取っているのだろうか。
「君は混じらないのかい?」
「ああいう空気はどうも、な」
確かにあれだけむさ苦しい空気に土岐君は似合わないだろうと思う。
「だから後で、今は言葉に出来んことも落ち着いてから聞いてやるんよ」
「……そうだね」
千秋の一番性質が悪いことは、あれが全て本音だということだ。
だから心配になってしまう。
「君も千秋が心配?」
僕の質問に、彼はクスリと笑ってかわしただけだった。

千秋は感情を表に出さない。
しかもそれを本人は無自覚である。
たしかに我侭な性格ではあるが、常に人を気にして一度気になってしまうと放っておけない。
それなのに自分は勝手であるという自覚だけはあるから、感情を出していると勘違いをしてしまう。
本当は悔しくて溜まらないのに。
実力を認めるという行為で感情を無理やりに沈静化させる。
燻った感情の行き先はどこにもない。
なら彼はいずれどうなってしまうのか。

翌日の昼間、菩提樹寮で休んでいる千秋の部屋を訪ねる。
「ユキか……」
入れ、と促され彼の部屋へと足を踏み入れる。
心なしかやはり昨日より浮かないようだ。
「今頃祝いの言葉でも寄こしに来たのか?」
「そうだね。準優勝おめでとう」
「ハッ、優勝じゃないのが気に食わないがな」
ふざけて言う彼の言葉に僕は笑えない。
「それよりもお前、昨日蓬生と何を話してたんだ?」
昨日、廊下で話していたときのことだろうか。
まさかこちらに気付いているとは思わなかった。
「千秋の演奏について話していたんだよ」
千秋のことは話していた。
だからきっと嘘ではない。
「挨拶もしないで帰ったから気になったんだが、特にないのならそれでいい」
「昨日は部員の人たちと積もる話もあっただろうからね」
言い訳をするが、千秋は何も言わずに帰ったことが不満らしく、そっぽを向いて拗ねる。
そんな態度を取られると、今からしようとしていることの決心が鈍ってしまいそうになる。
手を握り締め、息を吸う。
そしてゆっくりと息を吐き、彼に近づいた。
「どうしたユキ」
ベッドに腰掛けていた千秋の肩を押し、そのまま彼に跨り押し倒す。
「悪い、千秋」
千秋の両手を掴み、頭上で合わせる。
そして自分のズボンのベルトを引き抜き、彼の手首を固定させる。
突然の出来事に困惑している千秋の目つきは悪くなる一方だ。
「何のつもりだ」
僕は質問に答えない。
彼のシャツを捲り、胸の突起を摘む。
――さあ、文句を言え。
いざこういうときにどういうことをすればいいのか分からない。
だが、戸惑ってはいけない。
計画が台無しになってしまう。
「お前は何がしたいんだ」
千秋の質問には黙ったまま。
彼の腰のベルトを取り、ジッパーを下ろす。
「いい加減にしろ」
――怒ればいい。
千秋の声が大きくなる。
だが、それこそ僕の目的通りなんだ。
「ユキ」
千秋と目を合わせず、彼のものに触れる。
だがそれは決して愛しいという感情ではなく、ただ刺激を与えるだけ。
「嫌だったら嫌と言って」
千秋にそれだけ言って、僕は彼から手を離した。
「嫌に決まってるだろ。やめろ」
だが、やめろ、ということには頷けない。
「大丈夫だよ、今日は誰も居ないから」
「何が大丈夫なんだ、意味がわからねえ」
声を出していい。
思い切り拒絶をしていい。
感情をすべてぶつけていい。
「おい、本当にやめろ」
千秋に初めて怯えが出た。
それもそのはずだ。
自分のものを彼にあてがい、ほぐすこともせずに挿入する。
痛みから、千秋の悲鳴が部屋に響く。
その声を聞いて、僕は少なからず安堵した。
声はただ苦痛を訴えるだけで、僕の名前も単語すらもない。
涙混じりに痛みに堪えきれず声を上げる。
「もっと泣いて、もっと……怒って」
僕の言葉に千秋が瞬間不思議そうにこちらを見た。
だが、それを振り切るように僕は腰を動かす。
痛みと刺激と、言葉にならない悲鳴を千秋は上げる。
目的は悟られてはいけないから。
「ユッ……な」
「ずっと千秋をこうしたかった」
理由なんて、作ればいい。
「君が泣いている姿を、見たかった」
少しの真実を混ぜて。

千秋の泣いている姿を見たことがない。
本気で怒っているところも見たことがない。
感情がないわけではないが、ある一点を超さないのだ。
悔しいときは泣いていい。
どうしても納得いかないときは怒っていい。
まだ僕らは子供なのだから……

「馬鹿か、お前が泣いてどうする……」
千秋に言われて初めて気付く。
険しい表情をしながらも、酷いことをしている僕のことを気遣う。
「俺にはお前が何をしたいのか分からない」
分からなくていい。
そのためにやっているのだから。
「だけどお前が考えなしにこういうことをしないとは分かっているつもりだ」
――千秋はずるい。
「お前を許そうとは思わないが、お前と離れようとも思っていない」
もちろんそれくらいお前だって分かってるだろ?とさも当然かのように言う。
――どうして、酷いことをしたと怒らないんだ。
「だから、言いたいことがあるなら口ではっきりと言え」
泣くな、と。
本当は体は痛くて辛いはずなのに、いつものように彼は笑う。

彼から自身を抜いて、理由を話す。
「は?それだけか?」
「でも見ていられなかったんだ」
「アホ」
額にデコピンをされる。
「んなことで掘られるこっちの身になってみぃ」
それでも、やはり
「でも千秋は無理をしすぎだよ」
「だったら」
そういって彼に抱きしめられる。
「俺を悦ばせて泣かせてみろ」
声を思い切り出すのは確かに何かを発散できるようだしな、と。
彼の言葉に俺は驚き、そのまま抱き締め返した。

作品名
感情の行き先
登録日時
2010/04/25(日) 23:00
分類
未分類
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