「天宮、お前はいつもどこを見ているんだ?」
行為の最中に僕の頬を撫でながらそんなことを言う。
「決まってるじゃないか、冥加だよ」
僕はクスクスと笑いながら硬いけれど形のいい指を手に取り、乱暴にそのまま手首ごと抑える。
僕らの行為にはそのようなやさしいことはいらないんだ。
「天宮」
彼の声に僕は応えない。
ただ機械的に行為を続ける。
「静……」
無意識なのかもしれないが、彼は時々僕のことを名前で呼ぶ。
決まってこういう間だけだが。
――セイ、いいですか?
その言葉に僕は思い出してしまう。
先生が僕にしてくれたことを。
ただ感情を押し殺して快感だけを求めるようになること。
「天宮」
俺を見てくれ、なんて彼は言わない。
いつかの僕のように、全部口には出さないでただ抱かれるだけ。
それで通じるわけがないのに、通じればいいのにと信じている。
本当に君はバカだよね、冥加。
でも、僕は君を見ているよ。
- 作品名
- 疎通
- 登録日時
- 2010/03/29(月) 23:18
- 分類
- 天宮×冥加