声を出してはいけない。
音を立ててはいけない。
目の前の男が緊張しているのが分かる。
もしどちらかをしてしまえば、彼の兄としての威厳がなくなる。
そんな彼の耳元で、クスリと笑ってからその耳を軽く食む。
彼は緊張した体で無理やりに快感を押し殺す。
「冥加、挿れるよ?」
「悪趣味め……」
冥加の言葉を無視し、僕は彼の入り口に自身をあてがう。
よりいっそう彼の体が強張る。
それもそのはずだ。
ここは彼の家のリビングで、彼が大切にしている妹は部屋で寝ている。
「僕としては冥加の声を聞きたいんだけどな」
「ふざけるな」
彼の声が大きくなる。
しっと唇に人差し指を当てて子供に教えるように彼にする。
我ながら矛盾だらけだと思うが、こうやって彼を振り回すのは面白い。
「少し黙って……黙って僕にしがみついてて」
そうして、彼を貫く。
衝撃に声をあげてしまいそうになる冥加は、息を乱しながらも押し殺す。
それなのに僕の言ったとおり、僕に腕を回し抱きついている。
なんて素直な人間なのだろうと思う。
だからこそ、彼を振り回してみたいと思ってしまう。
彼の口に僕の指を入れる。
「なにを……」
指で彼の舌を根元からなぞる。
そのまま、僕は腰を動かす。
「ふぁ……」
彼は僕の指を傷つけることはない。
どんなに辛くても、決して指だけは噛み付かれることはない。
一本だけだった指を増やし、彼の口を開かせる。
「やえろ」
やめろ、と言っているのだろう。
大きくはないが、彼の感じている声がリビングにいやらしい水音と一緒に響く。
まだ彼の妹の部屋に届くほどではないが、部屋を出れば分かる程度の音だ。
「冥加、君のこと好きだよ?」
腰の動きを早めながら冥加に聞く。
これは彼に対しての問題だ。
僕の満足する答えが得られなかったら、彼はこのまま果ててもらうことにする。
そして彼の答えは
「俺は嫌いだ」
その答えに僕は、彼の口の指を抜きキスをした。
「正解だよ」
彼の回答に満足した僕は、そのまま強く打ち付け限界を迎える。
声がなるべく響かないようにキスをしながら僕らは果てた。
※ ※ ※
お題セリフ「少し黙れよ……黙って俺にしがみついてろ」
- 作品名
- ワイルド・バイカー・デラックス
- 登録日時
- 2010/04/17(土) 21:45
- 分類
- 未分類