俺の家で蓬生と遅くまで語り合った。
語り合う、というよりくだらない話を延々と続けていただけとも言う。
そうして熱くなっているうちに夜は更けていき、客用のふとんを出すのが面倒になった。
なので少し狭いが、俺の部屋にあるベッドで一緒に寝ることにした。
おやすみ、という言葉で電気を消し布団にもぐる。
さすがにがたいのいい男二人が寝るには若干狭い。
背中合わせで寝ているのに、蓬生が後ろに居ることを意識してしまう。
一度、意識してしまうともう駄目だった。
規則正しい寝息ですらも、今の俺にとっては煽るものでしかない。
(やべっ……)
気がつけば、自身は既に熱を持ってしまっている。
はぁ、とため息をついてそのまま寝てしまおうと思う。
「……んっ……」
蓬生が息を漏らす。
びくりと反応をしてしまうが、どうやら寝ぼけているだけで寝るためのいいポイントを見つけるためにもぞもぞと動いた。
だが、それからは全く動かずまた寝息が聞こえる。
一方の俺はと言えば。
自分の状態を見透かされたのかと思い心臓はバクバクしており、下半身は下半身でさっきよりも大きくなってしまっている。
これでは寝れそうにない。
仕方ない、とトイレに行こうとする。
なるべく音を立てないようにベッドを抜けようとする。
「ちあき……?」
どうやら起こしてしまったらしいが、ほぼ寝ている状態だ。
「ちょっとトイレだ。気にせず寝てろ」
「んー……」
と、言うと蓬生は俺の体にしがみつく。
背中から抱きしめられてる状態だ。
「おい蓬生」
「嘘はアカンよ?」
もしかしてコイツ起きてたのか?
だが、声色はほとんど寝ぼけている。
蓬生はそのまま俺の方へ手を伸ばしてこようとする。
まずい。
そう思ったのも束の間、俺の予想に反して手の位置はそのまま変わらず。
代わりにまた蓬生は夢の世界に旅立ったらしい。
……先程よりも状況が悪い。
身動きも取れず、想い人は背中で安眠中。
俺はどうしたらいいんだろうか……
- 作品名
- 背中合わせ
- 登録日時
- 2010/04/14(水) 21:08
- 分類
- 土岐×東金