目の前に構えられたものが何なのか。
分かっているが分かりたくない。
だが、質問をしないと始まらないことはわかっている。
「おい、何だそれは?」
蓬生の手にある物を指差す。
「なんや千秋知らんの?」
「アホ。知っとるから聞いとるんや」
どう見ても、カメラだ。
デジカメ、しかもCMで動画も撮れると宣伝をしているものだ。
「ちなみに、どっちだ?」
動画か静止画か。
「どっちやろなぁ」
曖昧にして答えない。
……絶対動画だ。
長年の勘がそう言っている。
本気でうんざりしていると蓬生はそのままキスをしてくる。
手にはカメラを持ったまま、だ。
「おい、普通そういうのってどこかに固定しておくんじゃないのか?」
俺の言葉に蓬生は楽しそうに笑う。
「千秋は誰かに見られている方が盛り上がるタイプなん?」
クスッと口元に人差し指を当てて微笑む様が妙に色っぽい。
何度肌を重ねているのか分からないが、蓬生の色気には慣れることがない。
「アホ」
「俺は俺の目線で見た千秋を撮っておきたいんやけど」
アカン?と頬にキスをしながらねだってくる。
どうせ断っても最終的には結果が同じになることは分かっている。
「どうせなら男前に撮れよ?」
髪にキスをしながら仕方なく了承をする。
「おおきに、かわいく撮ったるわ」
蓬生は茶化しながら俺に愛撫した。
- 作品名
- 記念撮影
- 登録日時
- 2010/04/09(金) 23:45
- 分類
- 土岐×東金