「意外と似合うものだね」
冥加の浴衣姿を見て、思わず漏らす。
僕の一言に彼は不機嫌になる。
「意外は余計だ」
「そう?じゃあ似合ってるね」
僕の一言でより不機嫌になった彼は、眉間に皺を寄せる。
素直すぎる彼は表情を変えずにそのまま窓際にある椅子に腰掛けた。
様子を伺いながら彼に少しずつ近づく。
窓に映る僕の姿を見て、彼はため息をついた。
仕方ない、といったところだろうか。
これで許してくれた、ということにしてしまおう。
「冥加、似合ってるよ」
もう一度同じ言葉を言いながら後ろから手を回す。
僕の行動を分かっていたのか、彼はその手を優しく掴む。
掴んで、はがそうとする。
だが僕も冥加の動作は予想範囲内だ。
指先で襟をしっかりと掴んでいたので、彼の襟は着崩れる。
「天宮何をっ」
冥加が油断をした隙をつき、右腕を振り払い彼の胸元へ手を滑り込ませる。
耳の裏を舐め上げ、右手で彼の胸の頂を摘む。
声を上げるまではいかないが、冥加は体をビクリとさせ左手の力を抜いた。
抑えられていた左手で冥加の手を抑え、右手で浴衣の内側の紐を掴む。
そして、それを引いて彼の口に咥えさせた。
彼の左手を離し、右手と同じように彼を抱く。
細い帯でしか支えられていない彼の浴衣は、微かに動くだけでも乱れていく。
窓に映る冥加の表情は不機嫌から戸惑いへと変化していた。
ここから恍惚へ変わるにはどれくらいかかるだろうか。
「冥加、似合ってるよ」
もう一度同じ言葉を重ね、彼の首筋にキスをした。
- 作品名
- 浴衣
- 登録日時
- 2010/04/09(金) 22:44
- 分類
- 天宮×冥加