「カップリングには略称があるらしい」
菩提樹寮のラウンジで紅茶を飲みながら千秋が変なことを言い出した。
はぁ、と適当に返事をすれば千秋は熱弁を始める。
「愛称というのはそのもののイメージを変える。
売れなかった商品が愛称ひとつで急激に売れることもある」
知らないよ、そんなこと。
「つまりだ。カップリングというのものも呼び方ひとつで印象が変わってしまうんだ」
そもそもカップリングってなんだよ、ということも言うのが面倒なので放っておくことにする。
「それに呼び方というのは名前の略称じゃなくて、共通する関係などでもいいんだ」
「へぇ」
適当に聞き流す。
「例えばだ、うちの蓬生と星奏の榊の場合、副部長という括りにしていい」
うん、うちの部員を巻き込まないでくれてよかった。
「それに二人の名前についている漢字を使って、土地、とちと読んで略をすることも出来る」
さりげなく土岐君が前に来ているのは気にしないことにしよう。
下手にツッコミをいれたくない。
「で、さっきから千秋は何が言いたいの?」
「ああ、そこだ」
カップを置き、千秋は真剣な表情でこちらを見る。
「俺とお前の場合、だ。
幼馴染として括るにはあまりにも幼馴染同士が周りに多すぎる」
「じゃあ略称?」
「ああ、それも考えた。
だが俺に思いつくのは一つだけで、それは気に食わないんだ」
気に食わない?と首を傾げれば、一言
「諭吉」
とだけ言う。
「福沢諭吉がどうかした?」
「違う、略称だ」
ユキと千秋で、ゆきち。
「一度考えたらコレ以外しっくりくるものが思いつかねぇ。
でもこれだとお前が先に来るのが腹立たしい」
「でも事実だよな」
思わず言ってしまうと、千秋は固まってこちらを見る。
しまったと思ったときには時既に遅く。
「じゃあ『ちゆき』にしてやろうか?」
遠慮しとくよ、と微笑んで返せば千秋は近づいてキスをする。
「そうならないように気をつけないとな」
そして僕はそのまま彼の腰を引き、負けじとキスをし返すのだった。
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切実に、他の人が八木沢×東金をなんと略しているのか知りたいです。
さすがにモブガネと呼んでいる人はいないと思いますが……
- 作品名
- CPの略称
- 登録日時
- 2010/04/06(火) 19:27
- 分類
- 八木沢×東金