シュル、という衣擦れの音が遠くでする。
「起きた?」
目を開くと天宮が制服の袖に通しているところで、彼の白い肌は黒い長袖によって既に隠れてしまっていた。
薄ぼんやりとした頭で、もったいないなと冥加が考えているといつの間にか彼は冥加の横に腰をかけていた。
「どうしたの、何か言いたそうだけど」
天宮の言葉に冥加は何も答えずただぼうっと天宮の顔を眺めていた。
仕方ないな、というように天宮は冥加の頬を撫でる。
手の温度に安心をしたのか、冥加は安心したように手に頬を摺り寄せる。
まるで猫のような仕草に天宮も思わず笑みがこぼれる。
「冥加」
耳元で天宮が優しく囁く。
「……なんだ?」
まだ寝ぼけ眼な彼を見て悪戯心が沸く。
ギシッという音をたててベッドが微かに揺れる。
だがまだ半分以上寝ている冥加にはそれすらも心地がよいらしく、覚醒する様子はなかった。
天宮は冥加を組み敷く形になり、手は頬だけではなく首へ胸へとだんだんと位置をずらしながら優しく撫でていく。
「ん……」
さすがに起きたかな、と見るが冥加の意識はまだはっきりと目が覚めていないようだ。
「冥加、起きないと悪戯するよ」
ふふっと笑いながら、彼の胸元に唇を落とし吸いつく。
赤黒く出来た自分の痕を確認し、満足して今度はただ触れるだけのキスをする。
そのまま口元の位置をずらし彼の乳首を舌で舐め、そのまま軽く歯を立てた。
「なん、だ?」
さすがに違和感に気付いたのか冥加は体を起こそうとする。
「おはよう、冥加」
そのまま吸い上げると、冥加はビクリと体を反応させた。
「朝から何を……」
やっている、というところまで声にならない。
天宮は楽しそうにクスクスと笑っている。
「君があまりに無防備だったからつい、ね」
冥加が視線を自分の体へ落とすと、ついさきほどつけたキスマークが目に入る。
寝ている間に何をされるか分かったものではない。
「どうせ学校にいる間は制服で見えないんだから」
たしかに黒いシャツでは中は見えることはないが、冥加にしてみればそういう問題ではない。
だが、天宮にしてみればそれだけの問題のようである。
「こうして冥加のことを見ていいのも、触れていいのも僕だけ、だよね?」
そうして、もう一度別の場所にキスマークを付ける。
何を言っても無駄だと、冥加は登校時間を考えつつも天宮を自由にさせるしかなかった。
※ ※ ※
お題セリフ「貴女に触れていいのは、俺だけなんですよ」
- 作品名
- ソフトタッチ・オブ・ローズ
- 登録日時
- 2010/04/05(月) 22:19
- 分類
- 未分類